0701/第621歩 東武の車(社)風から

久しぶりに東武に関する話をまとめて綴ってみます…。

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先日行われた“野田線ダービー”用ポスター(アニメ作品『フジログ』より)


野田線ダイヤ改正から間もなく1年...。
昨年7月23日にダイヤ改正(というよりも修正)を行った野田線ではありま
すが、あれから間もなく1年、どうなったでしょうか。

大宮口の本数増加という結果は、同口への流入がより一層顕著になったこ
とを示すものです。岩槻~春日部駅間の各駅の利用者だけでなく、春日部
以東の各駅、さらに野田市内の七光台駅あたりまでの利用者に少なからず
影響しているものと思われます。

こうなったのは、大宮口への乗降客数が下振れしていないことが理由です
が、何といっても、JR湘南新宿ラインの設定(本数増加)が大宮乗降の吸引
力(まさにダ○ソンの掃除機のような吸引力)だと思われます。

大宮駅で最も東側に位置する野田線から最も西側、それも地下に存在する
埼京線への移動とは異なり、地上ホームにある宇都宮線や高崎線への乗
換えですから、(埼京線よりも)明らかに移動しやすいですし、何よりも山手
線西側の各ターミナル駅どころか、その先の横浜、藤沢、鎌倉方面への移
動ルートが複数かつ強固なものになったことも選ばれている理由だろうと思
われます。

たとえ春日部で乗り換え、北千住や押上などで、日比谷線や千代田線、半
蔵門線経由で表参道や渋谷などといった人気スポットで向かうことが出来る
ようになっても、北千住での乗換えがメンドクサイですし、半蔵門線経由でも、
北千住~押上間の東武線運賃と半蔵門線自体が遠回りしているといったイ
メージを払拭できていないことが結果的に大宮口への流入を招き、JRの意
気込み次第では、さらに乗客の流れがよりいっそう顕著になるでしょう。

それにしても、野田線から都心への輸送が自社で出来るにもかかわらず、
諦観ムードな東京スカイツリーライン。

悲しいかな、大胆な発想をすることは、余程の輸送実績の落ち込み(危機感)
が訪れない限りないでしょう。

また、梅郷駅から北に向かって約900m区間が部分複線化という名の構内
改良がなされ、駅構内でない区間で行き違いが出来るようになりましたが、
残念ながら、この部分複線化工事という名の構内改良とダイヤのスジを横
向き(緩く)にしたところまではよかったものの、今度は南桜井駅東側の構内
改良区間で微妙な遅延が見られるようになってしまいました。

柏口では、朝混雑時間帯において、運河始発の本数が1便減らされた一方
で、1日の最大ピークを過ぎた直後の時間帯に1本挿入されました。これは
理科大の学生サン対策のようで、例年、同大学に通学する学生サンのうち、
運河駅以北の地域から通学される学生サンは、全体の3分の一程度いると
言われています。

最近は経済状況からなのでしょう、自宅から通学される学生サンが増えた
といった話もあり、そのための対応と思われます。

とはいえ、1日を通して同駅にて単線区間で行き違いによる遅延時間の吸
収や学生サン、団体参拝客の乗降のため、運河駅で時間調整する改正後
の現ダイヤは、1分でも早く目的地の駅に到着したい利用沿線住民からす
るとあまり感心しません。

『他社路線から乗客を奪う』と宣言した根津氏。
JRやつくばエクスプレスから乗客を奪われることをこのままよしとするのか。
私が住んでいる野田市は、東武だけでも、つくばエクスプレスを経由しても
東京都心への移動が可能なエリア。少なくても、春日部経由では全く太刀
打ちできない現状を変えるには、複線化と速達化が一番の手立てではあり
ますが、腰の重い状態は相変わらずのようで、このままジリ貧の現状を黙認
し続けるのでしょうか(たとえば、朝混雑時における野田市 ⇒ 春日部間の
所要時間は最大で29分では、あまりにもかかり過ぎです。因みに昼間時の
標準所要時間は23分)。

今後、野田線の新たな価値を見出すべく、北関東各地と成田空港への二次
アクセスを見据えた投資をされるのかどうか。

その一方で、沿線人口の減少に伴う(特に野田地区)ワンマン運転の計画
が持ち上がってくるのでしょうか。


連続立体交差事業(野田市内)と野田線用50000系新造
先ごろ行われた野田市長選。
この中で立候補者(現リーダー)による立会演説会の席上、今年度より、
連続立体交差事業実施に向け、愛宕駅東側の仮線設置や高架化に伴う
野田市駅西側の市道セットバック(平成食品工業土地買収)を含む大掛か
りな土木工事に着手する旨の発言がありました。

愛宕駅東側のあの所有者との話が終了したということでしょうか?
私の記憶が確かならば、同駅は昭和43年頃に1面1線から2面2線にした
記憶がありますが、それから約45年経って高架化のための改造工事が行
われようとしています。

また、80数年建っている野田市駅駅舎もそろそろ終焉を迎えようとしてい
ます(記憶を留めるための写真撮影はお早めに)。余談ですが、駅前にあ
るコンビニと駅近くに出店予定のスーパーが立体交差事業の進捗に伴い、
駅周辺の印象を変えそうです。

梅郷駅~清水公園間の連続立体交差事業事業の完成は、現在のところ、
平成30年3月頃を見込んでいます(第192期有価証券報告書より)。

今年度、野田線車両用として2編成、12両の車両が新造されることになり
ました(設備投資計画より)。第1期、総額136億円の投資になります。完
成予定が平成27年3月というのがちょっと気になります(同有価証券報告
書より)。それから、新造される車両は、野田線初のワンハンドル運転です
し、運転士の方の訓練も必要なことから、早ければ今年末の東武のイベン
トで初披露、来年に客扱いを開始、といったスケジュールでしょうか(これは
私見です)。


伊勢崎線(東武スカイツリーライン)ダイヤ改正
今年3月17日、伊勢崎線系統でダイヤ改正が行われました。 業平橋駅の
改称、特急電車のとうきょうスカイツリー駅の停車、駅ナンバリングの導入
などが中心でしたが、その一方で、会津鉄道からの直通電車を鬼怒川温泉
駅から東武日光駅へ乗り入れさせることで、これまでの3往復から4往復に
増便されました。

会津鉄道の乗り入れについては、かつて東武の役員がインタビューの中で
記者たちを驚かせた発言が(エピソードとして)残っています。

2004年度の中間決算発表会でのこと、「会津若松~鬼怒川温泉間の他社
との乗り入れはどの程度の収益増につながるか」との記者からの問いに対
し、東武の副社長が「正直ねぇ、あまり計算していないですねぇ。便利になっ
ても本当にお客さんが来てくれるかな。」(参考文献 : 日経ビジネス2005
年3月7日号 西武を笑えぬ東武より)

あれから7年。
『東武はいま会津へ』 このキャッチは何処にいってしまったのでしょうか..。
いずれにせよ、今回の増便が経営的によい方向に向かうことを期待してい
ます。


東京スカイツリー(押上・業平橋)と浅草・錦糸町のビミョーな位置関係
5月22日に東京スカイツリー、ソラマチが開業し、週末を中心に賑わってい
ます。東武本線(東武動物公園以南)系統に東武が絡む大型商業施設がこ
れまで全くなかった訳ですから、インパクトはかなり大きいでしょう(東武発
祥の地・北千住駅前には結局、丸井が出店しました。東上本線には、東武
百貨店があります)。

開業を機に経済誌や協会誌がこぞって東武に関する特集記事を組み、掲
載しています。

個人的には、今回の東京スカイツリー開業でもっともオイシイ思いをした鉄
道会社は、東京メトロだと思います。次に京成電鉄。都営もそこそこ(本所吾
妻駅or押上駅)。一番設備投資をした東武ですか? う~ん、なんともいえな
いです。

東武は、浅草~とうきょうスカイツリー間の利益を開業後から投資の回収を
行うべく、利益を上げていくようなことが経済誌を中心に触れられていました
が、浅草駅ととうきょうスカイツリー駅との駅間距離がわずか1.1km(電車
で約3分、徒歩で約15分程度)では、電車に乗ろうという方はどの位いるの
でしょうか。

また、墨田区が何故浅草駅を経由するコミュニティバス路線を通さなかった
のが個人的には少し悔やまれます(台東区と協議したとか、しなかったとか
などの話が表立って出てこないので、実際のところどうだったのかわかりま
せん。とはいうものの、浅草駅から墨田区役所まで歩けば、そこから墨田区
のコミュニティバスには乗ることができます(浅草駅から約7~8分))。

週末の夜に何度か浅草駅~アサヒビール本社前~東京スカイツリー(駅)~
押上駅間を歩いてみましたが、人々の往来は開業前に比べると、それなり
にあるようです。ただ、その往来が沿道にある店舗に好影響を与えているか
どうかまでは把握している訳ではないのでなんとも言えません。

東武の一番の思いは、東京西南部から東北部に少し重心を移したい
これに尽きるようです。
また、タワーそのものはリピート率が低いであろうと(ソラマチはそのための
投資)。また、ビジネステナントの入居具合はかなりよろしくないようで・・・。
錦糸町ならともかく、押上地区はビジネスタウンとは個人的には思いません。
いかにビジネスタウンに変貌を遂げさせるかが鍵になりそうです。

中核の1つである東武本線沿線でありながら、これまで東武が全くといって
もいいほど手がけなかった大規模商業施設を業平橋地区に導入することで、
観光という非日常的なものと生鮮三品を扱う地元、下町の店舗を取り入れ、
平日と休日の間に起こる来客数の波を平準化しようといった思惑も見逃して
はならないと思います(参考文献:『都市計画 第295号』)。

これまで地味と言われ続け、他社(特に広告部署)から蔑まれていた鉄道
会社、投資家やアナリストから沿線の魅力を高めることが要求されている
鉄道会社、東武。

以前のブログ記事でも綴りましたが、ソラマチ vsオリナス vs錦糸町楽天地
vs浅草松屋(後発組ながら今年11月リニューアル予定)により、今後この周
辺の商売競争がいっそう活発になりそうです。

かつて、池袋が“駅袋”(お客が駅の外側に出ることなく消費が完結してしま
う様子をこう皮肉った)と同じ現象が押上駅周辺の商店街で起きなければよ
いとは思っています。ソラマチ以外の魅力ある場所を押上地区、業平橋地
区に縁ある方がどんどん発信する必要があると思います。

個人的には、業平橋・押上地区は風情があるので好きですよ。温泉銭湯も
ありますし。

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車両側面に貼られた東武のCI。社紋から新ロゴへ(写真は16602F)
こうした施策も目に見える沿線魅力向上策の一環です。


せっかく東京スカイツリーで変わろうとしている東武をはじめ、まずは関係各
位の頑張りに少しばかり期待しましょう。



この記事へのコメント

2012年07月17日 10:20
こんにちは。

東武沿線に住む者として、東武鉄道の選考に参加したものとして、とても興味深い記事でした。

面接でもお伝えしたのですが、僕は東上線沿線を住みやすい街にしていきたいと考えています。医療機関や商業施設を駅前に集結させ、バスなどで細かい移動にも対応できるようにした相互につながった街を作るのが理想です。

東上線沿線のような良くも悪くも真面目な街を、どんどん突き詰めていき、「東上線沿線は住みやすさに定評がある」といった派手でない開発が東武にはぴったりな印象があるんですよね。

正直、スカイツリーのような世界的にも有名な建造物をつくってしまい、一番当事者が困惑しているようにも見えます。

新たな分野に挑戦することももちろん大事ですが、既存の分野で絶対的な信頼を築いていくのも大事なことだと思います。

東上線沿線をその舞台としてほしいですねー。
2012年07月17日 21:53
ロビンソンさん、お世話様です。
ロビンソンさんの考えに沿った東上本線の街といったら、ときわ台駅でしょうか。
この駅が開発された時、当時としてはかなり先進的でした。人口減少が始まった中で、駅前や街をどうするのか。鉄道会社と沿線自治体、さらに住民の三位一体の役割の明確化、そしてそれぞれのセクターが互いの活躍の場の提供を作る必要があるでしょう。
温故知新ではないですが、新しいお客様を獲得する一方で、沿線に住んでいるお客様をいかに移動の際に東武線を利用してもらうか。ここが今の東武に求められている部分ですね。
スカイツリーを起爆剤に超保守的といわれた同社の経営姿勢から、斬新な発想で時代を切り開いて欲しい、そんなことを思っています。東上本線の沿線価値再向上策にロビンソンさんもぜひ知恵を出して社会に貢献してくださいね。それでは。

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